2022年度反原発自治体議員・市民連盟第12回定期総会
第1号議案
◆2021年度活動報告
2021年度は、2年続きの新型コロナ感染拡大で活動が大きく制約を受けるなか、4月25日に連盟の第11回総会を、たんぽぽ舎を会場にオンラインで開催しました。方針の柱に、「脱炭素化」を口実に強まる原発再稼働を阻む課題を据えました。大石光伸東海第二差し止め訴訟原告団共同代表の記念講演に学び、水戸地裁判決を手掛かりに、全国の自治体で避難計画の不備を検証し、経産省・規制委員会に原発の停止を求めていくことを確認しました。「福島を忘れないシンポジウム」と現地見学は断念し、コロナ禍で被災地の現状を全国に発信できるありかたを検討しました。
- 2022年12月予定の東海第二原発再稼働が延期になりました
今年9月に核燃料を装荷し12月再稼働予定としていた東海第二原発に関し、原電は今年2月28日、再稼働の約2年間延期を発表しました。フィルターベントを特定重大事故等対処施設と共用するための工事と防潮堤設置工事がコロナで遅れたためとしていますが、原電と規制委の判断ミスがあり、反対運動と水戸地裁判決が影響したことは確かです。「止めよう東海第二原発首都圏連絡会」が毎月呼び掛ける原電抗議行動で、コロナ禍を口実に本社前に設置した机に要請文を置かせる原電の無礼な対応に抗議し、今年3月には裏側の通用口で受け取らせました。止めよう!東海第二原発一斉行動も三波にわたり、65団体を超える参加で実施しました。
全国自治体議員232人の連名で、2月18日東海村議会に「再稼働の中止を求める請願」を提出、紹介議員は阿部功志議員、恵利いつ議員、大名美恵子議員(共産)。4月19日原子力問題調査特別委員会で審議され、玉造茨木県議とけしば杉並区議が請願の趣旨説明を行いました。 - 原発運転を禁じられた東電に、柏崎刈羽7号機再稼働断念を要請しました
原発のセキュリティ対策に繰り返し不備が見つかり、規制委員会が昨年3月、柏崎刈羽原発の再稼働凍結を命じられた後も、11月には柏崎刈羽6号機で見つかった建屋地下の杭の損傷が、2007年中越沖地震で杭内部の鉄筋が破断変形したことを見逃がしていたためと判明しました。3月の掘削で確認されながら規制委員会で取り上げられたのは11月、東電の隠蔽体質がまた暴き出されました。一方政府が、東電の放射能汚染水の海洋投棄を認めたことに、県内漁業団体や生協団体が強く反対を表明しています。毎月行っている東電本社抗議行動で、東電を厳しく批判した質問書には東電から不十分ながら回答を得ています。 - 関西ブロック先頭に若狭の老朽原発再稼働を止める闘いを継続しています
7月23日関西ブロック第5回総会は、コロナ禍で64名が会場に参加、ZOOMで10名、東京からは4名が参加し関西の闘いを共有しました。関西ブロックの報告、全国からのメッセージ、竹本二三夫弁護士と木原壯林さんの講演はそれぞれ好評で、若狭の老朽原発を止める意義と、そのための継続した闘いの方向を確認できました。
6月6日老朽原発動かすな!大阪集会は1300人が参加、12月5日の老朽原発このまま廃炉!大阪集会は全国から1600人の参加で、コロナ禍で市民団体や労働団体の組織参加は自粛されたものの、労組や政党の代表が参加し、集会後御堂筋デモで市民にアピールしました。
水戸地裁判決が示す避難計画の実効性の不備に関し、二木元高槻市議が国の資料をまとめた連続学習会で、過酷事故が起きた際に住民の安全より国の治安維持が目的で、避難する自治体の意向や現状が全く反映されない構造になっていることがわかりました。 - 島根原発2号機再稼働の中止求め県議会に請願提出、全国の反原発運動との連携をめざしました
2月15日松江市長が、市議会全員協議会で島根原発2号機の再稼働に同意する意向を表明したため、全国自治体議員237人の連名で、2月24日島根原県議会に再稼働の中止を求める請願を提出しました。請願作成にあたり芦原元松江市議のアドバイスをいただき、請願代表者は高木隆太高槻市議と市民代表を芦原さんにお願いし、紹介議員は立憲民主の白石恵子議員・角智子議員・共産党の尾村利成議員・大国陽介議員の4名に引き受けていただきました。3月14日の特別委員会で継続審査となり、5月の議会での審査となりました。
北は北海道電力泊原発再稼働問題、北海道寿都町と神恵内村の核のゴミ最終処分場受け入れ問題、青森県むつ市の核燃料中間貯蔵施設と日本原燃の六ヶ所再処理工場問題、女川原発再稼働、12月2日運転再開された伊方原発3号機、九州電力が40年超えの運転延長を視野に特別点検を10月から始めた川内1、2号機に関して、それぞれの立地自治体の議員と市民から情報や貴重なご意見をいただき連携を強めてきました。 - 連盟ニュースの発行を継続し、連盟の会員を拡大しました
2021年度は、「原発やめよう」ニュースを38号から41号を含め、年4回発行し情報共有と会員の拡大、会費徴収につなげてきました。東海村議会への請願、島根県議会への請願に対する賛同を全国自治体議員に呼びかけ、ニュースの送付を契機に会員を増やすことができました。ホームページを更新し情報発信力を一歩高めました。
第3号議案
◆2022年度活動方針
政府は福島や宮城で起きた地震による火力発電停止を口実に、電力不足を煽り、原発再稼働を早めようとしています。一方今年度は、規制委員会の審査で新規制基準に適合した原発の新たな再稼働はゼロになる見通しです。全国の原発立地と連携し、再稼働を阻む力を拡大するチャンスです。コロナ禍で活動は引き続き制約されることを念頭において、再稼働を止めるために工夫した取り組みを強めます。
- コロナ禍で工夫を凝らし「福島を忘れない」運動を継続します
本総会の記念講演で、菅野清一川俣町議会議員から推薦いただいた社会学者の関礼子氏は、2011年5月から現在に至るも福島第一原発事故で被害を受けた自治体と全国に避難した方々の聞き取り調査を継続しています。関先生の講演を手掛かりに、優れた方々の努力の成果をお借りして、福島の被害の実態を全国に周知する取り組みを強めていきます。
福島第一原発事故の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時6歳から16歳であった6人が、東京電力に賠償を求める訴えを起こしました。6人は、その後、福島県が行った調査などで甲状腺がんと診断され、甲状腺の摘出や生涯にわたるホルモン治療などを余儀なくされています。県によると対象人数はおよそ38万人で、これまでに5回行われた調査では、合わせて266人が甲状腺がんやその疑いがあると診断されています。勇気ある提訴を注視し、国や県に実態を認めさせ支援を求めます。 - 東海第二原発再稼働工事2年延期を好機として再稼働を阻みます
東海第二原発の安全対策工事の完了が2024年9月に延期、特重(テロ対策)施設の設置完了時期も24年9月に延期されて、再稼働時期は早くても24年12月以降になりました。広域避難計画の計画策定が求められる14市町村のうち、策定済みなのは現在も5市町だけであり、東海村を含む立地・周辺の6市村から同意が得られる見通しも立っていません。再稼働が遅れても運転できるのは2038年までで、多額のお金をかけて工事しても運転できるのは十数年。与えられた時間を好機として、原電と政府に再稼働を断念させる取り組みを強めます。 - 東電の汚染水放出を止め、柏崎刈羽原発再稼働を断念させます
3月30日東電が、福島第一原発沖合約1キロで汚染水の放出に使う海底トンネルの整備工事を4月中旬にも開始することがわかりました。東電は、海水で100倍以上に希釈し、1リットル当たりのトリチウムの濃度を国の排出基準の40分の1程度に薄めて排水するから安全だとしています。現在貯蔵されている汚染水に残るトリチウムの総量は860兆ベクレルとされ、汚染水の増加などを考慮すると、放出完了までに30年以上かかる見込みです。世界各地で原発が放出するトリチウムなどによる健康被害が報告されており、フランスやドイツでは「各原発から5㌔圏内」で小児白血病が通常の2倍以上発生、日本でもトリチウム放出量が多い加圧水型の玄海原発周辺で白血病が多発し、泊原発周辺ではガン死亡率が道内第一位のデータがあります。地元の漁業関係者のねばり強い反対行動に応え、他の保管方法を求め海洋投棄の見直しを求めます。ずさんな原発管理体制が発覚した東京電力柏崎刈羽6、7号機は、規制委による事実上の「運転禁止」命令が解除されない限り、再稼働を議論できる状況にありません。月例の東電要請行動で引き続き廃炉を求めていきます。 - 関西ブロック先頭に高浜1.2号美浜3号の再稼働を阻みます
停止中の高浜1、2号機の特重施設の完成は早くても2023年5月、6月頃、美浜3号機の完成は今年9月頃。これらが特重施設完成後に再稼働されたとしても、関電が「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023年末までに探せなければ老朽原発を停止する」と明言していことから2023年末には停止に追い込む可能性があります。中間貯蔵候補地探しは今もって見通しはでていません。ここを突いて若狭の老朽原発停止においこみます。5月29日「原発のない明日を・老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」に全国から集まり、再稼働を阻む力を強めます。 - 島根原発2号機の再稼働を許さず、全国の原発再稼働・新設を阻みます
全国自治体議員連名の請願が5月議会で審議されます。仮に5月で反対請願を不採択として、県知事が再稼働を認めたとしても、再稼働は1年以上先になるので、戦争と原発リスクや福島原発事故の原因解析などを突きつけて闘う地元の議員・市民と連携し、再稼働中止を求め引き続き闘います。
東北電力は女川2号機の事故対策工事を続けており、再稼働を「22年度以降」としています。規制委の新基準審査が続く7原発10基は、想定される地震や津波を巡る議論が難航し、年内に審査終了が見込まれている原発はありません。 - 戦争で攻撃対象となる危険な原発の停止・廃炉を求めます
ロシア軍がウクライナ侵攻で核関連施設を次々標的とし原発施設が出火、ハリコフで核物質を扱う研究施設にロケット弾を打ち込んでいます。原発のリスク要因として、地震や津波だけではなく武力攻撃があることがウクライナの事態で明白になりました。更田豊志原子力規制委員長は3月2日の会見で、「規制委は武力攻撃があった時のその強度、どれぐらいの脅威がもたらされるかといった情報がなく、武力攻撃の時の想定や評価を行う立場にはない」と述べています。外務省が1984年、原発が攻撃を受けた場合の被害予測をまとめていたことがわかりました。周囲25キロまで住民が5時間以内にうまく避難できないと、最大1万8千人が急性死亡、さらに2万4千人がその後がんで死ぬと予測しています。敵基地攻撃能力の保持を主張している政府は、危険な原発を廃止することが住民の安全を守る道です。
●7月参院選で、原発の是非を争点にするよう野党候補者に求めます
杉本達治福井県知事は3月8日、岸信夫防衛相と会い、ロシア軍の原発砲撃を受け、福井県に15基ある原発が武力攻撃を受けた場合の防衛に自衛隊の派遣を要請しました。岸氏は「原発の防護に対する自衛隊の備えを不断に検討する」と応じています。これは逆に原発を攻撃対象にいっそう押し上げることになります。7月参院選で、老朽原発の再稼働の是非とともに、戦争で攻撃対象になる原発の危険性を争点にするよう野党候補に要請していきます。 - 連盟の会員を、全国の自治体議会と市民に拡げます
連盟は結成以来、議員と市民の共同の組織として運営してきました。請願行動を行う際に、原発立地の議員と市民の協力は不可欠です。市民会員の参加と運営への積極的協力を呼びかけます。コロナ禍で制約された活動に、昨年たちあげた連盟会員のメーリングリストを活用し、情報共有や全国の取組みの連携をはかります。連盟の取り組みを掲載したニュースの年4回の発行と郵送で、さらに議員・市民会員の拡大をめざします。