日本原電本店前抗議行動(8月4日)の報告

 8月4日(水)、酷暑とコロナ感染拡大の中でも、毎月恒例の原電本店抗議行動が行われました。暑さとコロナ禍で、参加者は多くありませんが、3月の水戸地裁での「東海第二原発の稼働を認めない」という判決を励みに、歌や音楽も交えてにぎやかに活動を続けています。反原発自治体議員・市民連盟では、毎回、申入れ書を提出しています。今回は、連盟の事務局長の結柴杉並区議が以下の申し入れ書を読み上げて、例の原電が用意したテーブルの上に提出しました。

2021年8月4日

東海第二原発起勤を断念し、原発からの撤退を求めます。

日本原子力発電株式会社取締役社長 村松 衛 様

               反原発自治体議員・市民連盟
               (共同代表)
                 佐藤英之岩内町議会議員・野口英一郎鹿児島市議会議員
                 福士敬子元東京都議会議員・武笠紀子元松戸市議会議員

 貴社、日本原子力発電株式会社(以下原電)が、2020年7月17日、原子力規制委員会に提出した東海第二原発の「使用前検査申請書」には、「使用開始時期を工事完了時期、2022年12月とし,9月までに核燃料を装填し、原子炉を起動する」と書かれています。これに反発した周辺6市村に対し、貴社原電は事故対策工事と並行して実施する使用前検査は「再稼働に直結しない」と確約する文書を提出しています。その後の状況からも、来年9月の東海第二原発の核燃料装填、原子炉起動は、以下の理由から全く不可能になりました。

 第一に、本年3月の水戸地裁の判決が東海第二原発の稼働を認めなかった理由である『避難計画』が、その後も不備なままであることでず。7月13日、避難計画の達成が確認されているかの現状を問うために、関係省庁から話を聞きました。その場で、資源エネルギ一庁は「避難計画の策定は原発の稼働や再稼働の法令上の要件とはなっていないが、住民の安全・安心の観点から、避難計画がない中での稼働や再稼働が進むことはない」と答えました。実効性ある避難計画が策定されなけれぱ、原子炉の起動はできないということです。

 第二に、30キ口圏の住民96万人の避難計画、特に災害弱者の避難計画ができないことです。5キ口圏内だけで、避難の際に車いすやストレッチャ一などの支援が必要な人は、県の推計で1500人に上り、車両は約1000台必要となりますが、確保のめどが立ちません。車内の「3密」を避けるため、県はバスの必要台数が従来想定の約2-3倍に膨らむと試算。県のパス協会からは「放射能が流出した場合の対応は、民間会社では責任が取れない」とし、事故時の運転手の確保のめどはたちません。

 第三に、7月28日の原子力規制委員会の定例会合で、敦賀原発の地質データ資料の不適切な書き換えの審査を中断することが決まりました。「データ処理に必要な業務管理が適切にできていなかった」ことが確認されたにもかかわらず原電の報告書では「幹部は知らなかった」と書かれ、責任を取ろうとする姿勢が見られません。原電の最終報告が出るまで審査ができない状況です。社内の不正を幹部自ら正すことができない企業に、原発の運転を任せることはできません。 以上の理由から、以下二点を要望します。

(1)2022年9月の核燃料装填、原子炉起動、12月の稼働方針を撤回すること。
(2)東海第二原発の再稼働工事を直ちに止めて、廃炉を決断すること。